治るとは 風邪タイプ・大怪我タイプ・高血圧タイプ

精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書)

精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書)

第六章より
治るとは何を意味するのか。
①風邪タイプ-後遺症も残らず完全に病気以前の状態に戻る。
②大怪我タイプ-状態が安定する。(痛みは治まり、傷口も一応は閉じた。しかし腕が失われてしまったり、神経が再生せずに麻痺が残ったり、傷が瘢痕として残ったり。後遺症やトラウマは残ってしまった。)
③高血圧タイプ-状態をコントロールし安定させ安心できる状態。(薬を服用するし医者との縁は切れない。)

精神疾患領域における治り方の多くは、②と③の中間ないしは混合のようである、と。

神経症の場合-困難な状況や環境と本人の性格の組み合わせ。目指すべきは本人が現状といかに和解すべきか、ということ。
B依存症の場合-何かにハマるタイプの人はそのような生き方が身についている。依存対象を医療や自助グループ活動や「依存症を克服した私という生き方」へと方向転換させることが治療の目標。
Cうつの場合-内因性は抗うつ剤で綺麗に治る。最近はパーソナリティー障害と見るべきであったり、途中から神経症に移行する場合が多い。
統合失調症の場合-思春期や比較的若い時期に発症する。治る・治らないで最も問題になるのはおそらくこれ。

タイトルの通り、精神科医が治療をしながら考えていることをつらつらと書いてあり、淡々としているがおもしろい本だった。